兄弟姉妹
「ねえ、お兄ちゃん、お姉ちゃん、弟、妹。どれが欲しかった?」
宿屋の一室。就寝前のくつろぎの時間。
ベッドに寝そべりながら唐突に質問してきたプリムに対し、ランディもポポイもぽかんとする。
「何?突然」
「なんとなく、聞いてみたくなっただけ。私、一人っ子だから、よく考えたわ。兄弟ができるなら、上がいいか、下がいいか。考えてみたこと、ない?」
やわらかくかけられた問いに、ランディは剣を磨いていた手を止めて、少し考える。
「うーん。僕は、置いてもらっていた村長の家に、村の孤児の女の子が引き取られていて、一緒に暮らしていたんだ。だから、妹がいたようなものだったから……他に兄弟が欲しいとか、思わなかったかもしれない」
「へえー。ランディがお兄ちゃん代わりをしていたわけね」
「そういうネエちゃんは、上が欲しかったのか?下が欲しかったのか?」
ポポイがプリムに水を向けた。
プリムは天井に目線をあげながら考える。
「母は私を産んで亡くなったから、下の兄弟ができることはないって思ってたし……望んじゃいけないような気がしてたのよね。だから上の兄弟が欲しいって考えてたわ。お姉ちゃんがいて、一緒に買い物とか行くのも楽しそうって思うし、優しいお兄ちゃんが欲しかったなーとも思うわ」
「なるほどねー」
ポポイがうんうんとうなずく。
ランディはじゃあさ、と口を開いた。
「ポポイは?ポポイはどの兄弟が欲しい?」
「んー?オイラ?」
ポポイは少し考えたあと、にかっと歯を出して笑った。
「オイラは、兄弟はいいや」
「え?」
「だって、オイラにはアンちゃんとネエちゃんがいるからな!」
2009.10.24